新型コロナウィルスショック HISについて分析してみた

株式銘柄分析

なかなか収まりそうにもない新型コロナウィルス。
我が家では2、3年内の旅行は諦める気持ちで過ごしています。
外出や旅行が出来なければ、お金を使うことも減ります。
「だったら、この機会に株価が大幅安になっている旅行会社について調べ、投資対象として面白いと判断出来れば購入検討してみよう」と旅行関連銘柄を調べてみることにしました。

一気に全部を調べることは大変なので1社ずつ分析していきます。
分析は主に「会社四季報」で知り得た情報の範囲内で行っています。
実際に投資を検討する際は、企業IR情報で決算内容や事業内容を自身でご確認のうえ投資ください。

当記事はあくまでも私個人の判断であり、決して投資をお勧めするものではありませんのでご了承ください。

9603 HIS(株式会社エイチ・アイ・エス)について

言わずと知れた旅行会社大手で海外に強みを持っているグループ企業です。
長崎県佐世保市にあるハウステンボスを運営し、近年は旅行手配やホテル運営にも力を入れています。

2020.03.28時点での株価は1470円、時価総額1007億円、PBR0.87、自己資本比率は16.7%で有利子負債は2332億円、今期予想PER14.43、配当利回り2.24%(33円)、優待は100株保有で「2,000円相当の株主優待券」です。

株価 1,470円
時価総額 1007億円
PER 14.43
PBR 0.87
配当利回り 2.24%
自己資本比率 16.7%
有利子負債 2332億円

エイチ・アイ・エスの売上高と利益率は成長しているのか?

売上高は2017年6060億円、18年7285億円、19年8085億円と順調に右肩上がりでしたが、ロープウェー建設中止で減損13億円が生じ、2020年10月決算では11億円の赤字が予想されています。

ハウステンボスの客数減少が業績の足を引っ張っているようで、訪日外国人に頼らざるを得ないテーマパークとホテルの運営は今後も苦戦が予想されます。

中古携帯販売や格安SIMの販売、旅行商品のネット販売力を強化するためにWebサイトを刷新し、収益を確保するための打開策は次々と図られているようです。

懸念材料

懸念材料は、言うまでもなく新型コロナウィルス・ショックです。
旅行業界は未曾有の影響を受けることが予想されていますし、新型コロナウィルスの対応が長引けば長引くほど企業に与えるダメージは計り知れないものになります。

エイチ・アイ・エスの営業利益率は?

17年10月~19年10月の決算書を見ると、エイチ・アイ・エスの営業利益率は2.1%~2.4%周辺を推移しています。
営業利益率が低いと感じたので、なぜ、旅行業の営業利益率が低いのか、旅行業界の財務について調べてみました。

調べた結果、旅行業はそもそも利益率が低い、あまり儲けにくい産業のようです。
営業利益率が低くなってしまう最大の理由は、商品に付加価値を付けられないためだそうです(自社で飛行機を飛ばしたり、ホテルを用意している訳ではない)。

旅行業の収益の多くは、交通機関や宿泊施設への手配から発生する、斡旋手数料収入がメインとなります。
例えば、手数料を高く設定し旅行商品を設計すると、個人手配との差が無くなってしまうため、旅行会社を利用せず個人で手配する人が増えてしまいます。

これも知らなかったことですが、高金利のバブル時代には旅行業特有の営業外収益があったそうです。
旅行業はお客様から先払いで旅行代金を受け取りますが、その代金(前受金)を受け取り預金する期間が、他業種と比べると長いそうです。

バブルの高金利時代には旅行代金(前受金)を預金運用している間に受取る利息のほうが支払利息を大きく上回り、薄利経営を手助けしてくれる存在になっていたそうです。

いまは低金利時代なので、この恩恵はすっかり受けられなくなっています。

エイチ・アイ・エスのキャッシュフローは?

キャッシュフローは、「実際のお金の流れで会社の実態を表す財務表」です。
キャッシュフローを読み解くことで、お金がしっかりまわっているかどうかという倒産リスクを見極めたり、会計期間の始めと終わりでどれくらいお金の流れに変化があったのかなど読み取ることができ、会社のお金の状態が丸わかりになります。

2017年のフリーCFはプラスになっていますが、2018年・2019年は連続でマイナスとなっています。投資CFが大きいので積極的な先行投資を行った結果だと思います。財務CFが毎期プラスとなっているので積極的に借り入れていることが見てとれます。

インバウンドが戻り、その状況を継続できれば、営業CF次第に大きくなり先行投資の恩恵を受けられるのでしょう。今期は営業CFがマイナスになるでしょうし、現金同等物の増減を含め、資金の流れを確認したいところです。

エイチ・アイ・エスの負債は?

続いては会社の負債(借金)についてです。
経営が順調な時の負債は企業成長のスピードを加速させ大きな力を与えてくれますが、経営の下振れが続いた時の借金は逆に企業経営の足を引っ張る存在となります。
企業負債のチェックはとても重要です。

HISの自己資本比率は16.7%です。

自己資本比率の目安としては30%程度で普通、40%以上で優良と言われているので、それと比べるとエイチ・アイ・エスの自己資本比率は低めだと言えます。

有利子負債が2332億円あり、純利益は平均で年間100億~130億円を推移しているので、毎年稼いだ利益を全額返済に充て続けると約20年間で返済完了できるイメージです。

たとえば財務状況が優良であることで有名な花王の場合だと、商売の規模(売上高)はエイチ・アイ・エスの約2倍の1兆5000億円にも関わらず、有利子負債は半分の1271億円です。純利益は年間1500億円を叩き出しているので、1年間で借金返済でき利益も手元に残る健全性です。

業種が違うため、単純比較してはいけないのでしょうが、花王のように自社商品の価格(価値)を決めることが出来る企業、景気に左右されない商品を永続して提供できる企業は、そう簡単には経営がブレない強さがあります。

エイチ・アイ・エスの明るい材料は?

新型コロナウィルスの影響はまだ続いており、旅行業界に与える損害は甚大なものだと想像します。
しかし、ウィルス問題が終息し、世界の人々が再び動き出した時に、いち早く業績回復できる業種でもあると思います。

新型コロナウィルスの影響を受ける前までは、訪日外国人旅行者が年々着実に増えていたことを考えれば、将来に向かってはさらに増加していく可能性が高いのではないでしょうか。

アジアの国々を旅行したり、下調べをすると、年々物価が上昇していることを実感します。
将来は、中国を筆頭に東南アジア諸国の人々も「安い日本」を求めて旅行に訪れるのではないでしょうか。

また、大手グループ企業なので、訪日外国人の増加を見越して、収益力と財務力改善のために先行投資し、手立ては打っているのではないでしょうか。

市場の成長余地はまだまだありそうですので、エイチ・アイ・エスの今後の展開と対策に期待したいところです。

株式投資を始めたい方に役立つ書籍

株式投資を始めたい方に役立つ書籍をいくつか紹介しておきます。
投資の書籍は何度も繰り返し読み返すことが多く、読めば読むほど投資に対する理解度も高まります。

お勧め度 1位 史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール


株式投資では財務諸表を読み解く力が必要になります。
この本ではウォーレン・バフェット流の財務諸表の読み方を58のルールにまとめて解説してくれています。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー表のどの部分をどのように読めばよいのか、1項目ずつ高校生でも理解できるレベルで解説されています。
孫の世代まで受け継いでいきたい1冊です。

お勧め度 2位 株価4倍「割安成長株」で儲ける収益バリュー投資術


割安株投資の教科書的1冊です。各種指標の使い方、定量分析、定性判断、銘柄分析まで初心者が学ぶべきことがコンパクトにまとめられています。

雑誌等の推奨銘柄情報を鵜呑みにしないためには、自身で銘柄分析方法を学ぶしかありません。前著「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」と併せて学ぶことをお勧めします。

お勧め度 3位 楽しみながらがっちり儲かる 優待バリュー株投資入門


個人投資家兼ブロガーのみきまる氏がノンストレスで長期運用を継続できる割安優待株投資についての手法を解説してくれています。
優待株投資を始めたい方にとっては、投資を始める前に読んでおくべき一冊だと思います。

また、みきまる氏のブログをチェックすると、熱心な企業分析記事も拝見でき、投資への向き合い方まで学ぶことができます。

みきまるの優待バリュー株日誌:楽天ブログ
優待株の中から割安で総合戦闘力が高い銘柄を選別し、2~3年の中期の時間軸で戦う「優待バリュー株投資」を実践。何があっても決して諦めず、少しでも良い投資家になることを目指して日々精進しています。

マストアイテム 番外 会社四季報


言わずと知れた会社四季報です。
上場企業のビジネスや財務諸表を一目でさっと調べられる辞書的存在です。
CMが気になって四季報を確認することもあれば、お店の行列が気になって四季報でチェックすることもあります。
国内株式で投資をするのであれば年4回購入すべき1冊です。分析時はなるべく最新号を使用してください。